記者:原型製作者 松田元祥、企画者P-ruma
企画部開発課 松田元祥
ラインバレルの原型を納品したのは結構前の事になるので、過去を振り返らない性格の僕としてはすでに記憶に霞がかかっている状態なのですが(笑)、特に印象に残っているのは、企画段階からP-ruma氏がとにかく可動にこだわっていたことと、造形に関して、原作者である清水栄一様、下口智弘様両氏からいただいたアドバイスでしょうか。
最初の打ち合わせでP-ruma氏から提示されたキット構想は、「なるべくパーツ数を抑えた構成で、なおかつグリグリ動きまくる」といったものでした。
ラインバレルは劇中(当時まだアニメはありませんでしたので原作漫画の方での話)でも、見栄をきったポーズをとっていたり、大胆なパースがかかった構図でかっこよく描かれていることが多かったため、これをキットで再現するのは必定だと考えたのでしょう。
パーツ数を云々というのは、ラインバレルの読者層を考慮しつつ、普段模型に触れる機会のない方々にも手にとっていただけるようにという、企画者ならではの配慮です。
造形に関してはある程度信用があったのか、そういった注文は一切ありませんでしたね(笑)。
企画に100%のものを要求されれば、120%、いや200%にして応えてみせるというのが僕の信条です(悪いクセともいう)。僕のこの性格のために仕様がどんどん追加されて過去多くの企画者たちを苦悩の淵に追いやったという逸話はともかく、「とにかく動くやつにしたい!」というP-ruma氏の要求に応えるため、「これでもか!」と10数センチのサイズの中に盛り込めるだけの可動機構を組み込みました。
「パーツ数を抑える」という命題もあるため、やたらに複雑な機構にするわけにもいかず、また、ただ動けばいいというものでもないため(原作の躍動感が再現できなければ意味がない)、結構神経を使う作業でしたが、逆にいうとかなりやりがいのある仕事だったともいえます。
果たしてその成果は…ぜひ皆様ご自身の手にとって、確かめていただければと思います(^_^)
もう一つ印象的だったのは、原作者様から直接頂いた(版元様を通じての書面ではありましたが)アドバイスです。
ちょっと記憶があやふやになっていますが(汗)、肩口のディテール、肩アーマー上面の形状、首~頭へかけてのラインについてなど、原型に対する修正指示というよりは、「ラインバレルはこうなっているのです」といった、解説的内容でした。しかもわざわざイラストを描いていただけるとは!(首~頭の側面図とか垂涎ものでしたよマジで…いかん一般人に戻ってしまう)
原作者ゆえの余りに的確な造詣に「ああ、だからこういうシルエットになるのか!」と得心することしきり(再現できてなかった自分の能力不足は置いておいて)。
納期的に結構ヤバかったため、P-ruma氏からは「できればちょっと検討してもらえないかな?」的ニュアンスの配慮をもらいましたが、これに応えられないようでは原型製作者失格です。実はもう仕上げの段階まで行っていた部分もあったのですが、オーバードライブ発動で修正させていただきました。
結果、造形面でかなりのブラッシュアップが図られたのは言うまでもありません。
今更となりましたが、ご多忙中にもかかわらず、真摯な対応をしていただいた清水様、下口様に、心より御礼申し上げます。
…と、このような経緯を経て生まれたプラキットラインバレル。
原型製作者としてやれるだけのことはやったというのがホンネではありますが、プラキットは世に出るまでがゴールではありません。このキットを「完結」させることができるのは、他ならぬ皆々様なのです。
そのまま組み立ててガシガシ遊ぶ。劇中のシーンを再現する。自分のリビドーの赴くままに手を加える。あえて自分色に染め上げてみる(←僕はこれが好きです(笑)。…非常に月並みな言葉ですが、模型の楽しみ方は手にした人の数だけあると思います。
本キットが皆様の模型ライフに一役買うことができれば幸いです。
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松田氏コメ、サンクス!
いや~~、自分の考えをこうも汲み取っていただけると非常にうれしいですね!
お客様のニーズを想定して、その顧客満足を一緒に共有して行く、ユニゾン率120%のプラキットラインバレル。
そんなプラキットラインバレルですが、遅ればせながら現在再販分が市場に出回っております。
生産の都合上、今回あまり多く生産する事が難しく、恐れ入りますが今回もご迷惑をおかけいたしてしまう可能性がございます。
大変申し訳ございませんが、是非お目にかかりましたら、早めのご購入の程よろしくお願い申し上げます。
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つづく